急性中耳炎は耳がとても痛くなるのですが、慢性中耳炎は耳が痛くなりません。
慢性中耳炎は、通常ふさがっているはずの鼓膜に穴が開いたままの状態のため、内圧が上昇することなく、痛くならないのです。でも、鼓膜に穴が開いているので、耳が聞こえにくい「難聴」が起こります。また、鼓膜に開いているの穴から細菌などに感染しやすく、耳漏(耳だれ)が出やすくなります。めまいや耳鳴りがあることもあります。 たびたび耳だれが出る方、耳の聞こえが悪い方、また「鼓膜に穴が開いてますよ。」とか「慢性中耳炎ですね。」といわれたことのある方は、これらの症状、状態を放置しないことが大切です。
耳だれに対しては、抗生物質の服用や点耳薬を使用します。 でも根本的な原因である鼓膜の穴をふさぐことはできないため、何度も耳だれが起きてしまいます。
この穴をふさぐ手術法として大きく分けて2通りあります。 「鼓室形成術」と「鼓膜形成術」です。
当院では、日帰りでできる「鼓膜形成術」を行なっています。
難聴はもう治らないと思いこんでいる人の中には、鼓膜形成術によって完治することはよくあります。
「鼓膜形成術」とは、破れた障子の穴をふさぐように、鼓膜の穴を外側からふさぐ手術です。
手術によって治るかどうかは、外来の検査で簡単にできます。
耳の中に麻酔液を浸したガーゼなどを入れて、鼓膜と外耳道の麻酔をします。 15分~20分後、耳の後ろに痛み止めの注射をします。 目立たない部分の皮膚を1cmほど切開して、組織を少しだけ採取して、これを代用鼓膜にして鼓膜の穴をふさぎます。 1~2針縫いますが、耳の後ろなので傷はほとんど目立ちませんし、抜糸の必要もありません。
※ 鼻を強くかむと耳に圧がかかり、形成した鼓膜がずれる危険性があります。しばらくの間は手術した側の鼻を強くかむのを避けるようにしてください。